アメリカにおける心疾患低減の取り組みに端を発してトランス脂肪酸表示や摂取制限の動きがあり、トランス脂肪酸が含まれるマーガリンにも目が向けられるようになりました。
マーガリン業界では、以前よりトランス脂肪酸の健康に与える影響について重要な問題と捉えて研究を行っており、弊社でも深い関心を持って対応してまいりました。行政においてはトランス脂肪酸の健康に与える影響について検討がなされ、内閣府食品安全委員会の発表では、現在の日本人の平均的な食生活において、トランス脂肪酸の摂取量は健康に悪影響を与えるものではないとの見解が出されております。
しかしながら、脂肪の多い食品の食べ過ぎ、偏った食事をしている場合などでは平均値を大きく上回る事も指摘されています。
弊社においても今後の食生活の変化を踏まえ、マーガリン・ショートニングなどの油脂加工製品においてトランス脂肪酸の低減は必要と考え対応してまいりました。
トランス脂肪酸の含有量低減への作業は、風味や物性の変化を極力少なくするために段階的に実施し、原料油脂にはトランス脂肪酸の少ない加工油脂を用いることにより、トランス脂肪酸の含有量低減を進めてきました。
現在の製品では、100g中1g以下となっています。
丸和油脂が製造している市販マーガリン類のトランス脂肪酸等の含有量について
(2018年4月現在)
マーガリン業界では、以前よりトランス脂肪酸の健康に与える影響について重要な問題と捉えて研究を行っており、弊社でも深い関心を持って対応してまいりました。行政においてはトランス脂肪酸の健康に与える影響について検討がなされ、内閣府食品安全委員会の発表では、現在の日本人の平均的な食生活において、トランス脂肪酸の摂取量は健康に悪影響を与えるものではないとの見解が出されております。
しかしながら、脂肪の多い食品の食べ過ぎ、偏った食事をしている場合などでは平均値を大きく上回る事も指摘されています。
弊社においても今後の食生活の変化を踏まえ、マーガリン・ショートニングなどの油脂加工製品においてトランス脂肪酸の低減は必要と考え対応してまいりました。
トランス脂肪酸の含有量低減への作業は、風味や物性の変化を極力少なくするために段階的に実施し、原料油脂にはトランス脂肪酸の少ない加工油脂を用いることにより、トランス脂肪酸の含有量低減を進めてきました。
現在の製品では、100g中1g以下となっています。
丸和油脂が製造している市販マーガリン類のトランス脂肪酸等の含有量について
(2018年4月現在)
商品名 | トランス脂肪酸 (g/商品10g) |
飽和脂肪酸 (g/商品10g) |
コレステロール (mg/商品10g) |
2010年の トランス脂肪酸 (g/商品10g) |
ホテルソフト 380g |
0.05 | 1.6 | 0.2 | 0.6 |
ホテルソフト バター入り150g |
0.06 | 1.7 | 0.1 | 0.06※1 |
ホテルべに花 マーガリン180g |
0.01 | 2.1 | 0.2 | 0.5 |
ホテルマーガリン 800g |
0.06 | 2.8 | 0.2 | 0.6 |
ホテルマーガリン 1kg |
0.06 | 2.8 | 0.2 | 0.6 |
ホテルソフト 380g |
ホテルソフトバター入り150g |
ホテルべに花マーガリン180g※2 |
ホテルマーガリン800g |
ホテルマーガリン1kg |
※1 発売当初(2012年)の含有量です。
※2 ホテルべに花マーガリンのトランス脂肪酸量は上表のとおりですが、パッケージデザインの変更は、2019年10月を予定しております。
WHO(世界保健機関)ではトランス脂肪酸の摂取量を1日当たりの総エネルギー摂取量の1%未満(約2g)とするよう勧告しております。
ホテルソフト1食(10g)当たりには、トランス脂肪酸は約0.05g含まれております。この量は、勧告の量の約1/40(2.5%)です。
ホテルソフト1食(10g)当たりには、トランス脂肪酸は約0.05g含まれております。この量は、勧告の量の約1/40(2.5%)です。
油脂を構成する脂肪酸のうち、トランス型の二重結合がある不飽和脂肪酸のことで、油脂の加工や精製の工程で生成します。また天然にも存在しており、反芻動物の胃で微生物によって生成されるため、牛肉や乳製品にも含まれています。
1.工業由来
1.工業由来
- 油脂の硬化工程(部分水素添加油脂)
- 油脂の高温加熱工程(脱臭工程を経た精製油脂)
- 反芻動物の胃で微生物によって生成(乳製品や牛肉)
主に液体の低融点の油脂を物性改良の目的で固体の油脂にするため、油脂を構成する不飽和脂肪酸の二重結合に水素を付加させた油脂を水素添加油脂と呼びます。油脂中の全ての不飽和脂肪酸に水素を付加した油脂を完全水素添加油脂とよび、部分的に水素付加を行った油脂を部分水素添加油脂とよびます。水素を付加する工程で一部の二重結合がトランス型に変化してトランス脂肪酸が生成します。
油脂の不飽和脂肪酸(二重結合)の量はヨウ素価で評価することができます。アメリカ食品医薬局(FDA)では水素添加油脂のうちヨウ素価が4を超える油脂を部分水素添加油脂と定義しています。
油脂の不飽和脂肪酸(二重結合)の量はヨウ素価で評価することができます。アメリカ食品医薬局(FDA)では水素添加油脂のうちヨウ素価が4を超える油脂を部分水素添加油脂と定義しています。
トランス脂肪酸はシス型の不飽和脂肪酸と異なり飽和脂肪酸に類似した挙動をとるため、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増大させ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を減少させる働きがあるといわれています。また、動脈硬化などによる虚血性心疾患のリスクを高めるとの報告もあります。
日本においては、食品安全委員会において「日本人ではトランス脂肪酸の摂取状況から考えて、通常の食生活において健康影響は少ない、脂質に偏った食事をしている一部では注意が必要」とされています。
下表に「トランス脂肪酸の一人当たりの摂取量」を掲げますが、WHO(国際保健機関)ではトランス脂肪酸の摂取量を摂取エネルギーに対して1%未満とすることを勧告しており、この量は成人男子で約2.2〜2.5gになります。アメリカ人は大きく超えていますが、日本人の場合はこれを下回っています。
日本の現状では食事による健康リスクは脂質の総摂取量、食塩の摂取量がトランス脂肪酸の摂取によるリスクよりも大きいとされており、優先対策とされています。
トランス脂肪酸は、必須脂肪酸等の栄養成分の重要な供給源でもある脂肪や油脂に含まれていますので、必須栄養素の適正な摂取量を損なうことなくトランス脂肪酸の摂取量を低減する必要があります。そのため、日々の食事では政府の「食事バランスガイド」でも示されていますように、肉、魚、穀物、野菜、果物など、いろいろな食物をバランス良く摂って頂くことが何よりも大切になります。
トランス脂肪酸の一人当たりの摂取量(内閣府食品安全委員会資料 2010(H22)年より)
日本においては、食品安全委員会において「日本人ではトランス脂肪酸の摂取状況から考えて、通常の食生活において健康影響は少ない、脂質に偏った食事をしている一部では注意が必要」とされています。
下表に「トランス脂肪酸の一人当たりの摂取量」を掲げますが、WHO(国際保健機関)ではトランス脂肪酸の摂取量を摂取エネルギーに対して1%未満とすることを勧告しており、この量は成人男子で約2.2〜2.5gになります。アメリカ人は大きく超えていますが、日本人の場合はこれを下回っています。
日本の現状では食事による健康リスクは脂質の総摂取量、食塩の摂取量がトランス脂肪酸の摂取によるリスクよりも大きいとされており、優先対策とされています。
トランス脂肪酸は、必須脂肪酸等の栄養成分の重要な供給源でもある脂肪や油脂に含まれていますので、必須栄養素の適正な摂取量を損なうことなくトランス脂肪酸の摂取量を低減する必要があります。そのため、日々の食事では政府の「食事バランスガイド」でも示されていますように、肉、魚、穀物、野菜、果物など、いろいろな食物をバランス良く摂って頂くことが何よりも大切になります。
トランス脂肪酸の一人当たりの摂取量(内閣府食品安全委員会資料 2010(H22)年より)
商品名 | 一日当たり 摂取量(g) |
摂取エネルギーに 占める割合(%) |
推定方法(( )内は 調査を実施した年) |
日本(平均) | 1.56 | 0.7 | 国内生産量から推定 (1998(H10)年) |
1.4 | 0.7 | 国内生産量から推定 (2008(H20)年) |
|
0.7 | 0.3 | 組み上げ方式 (2007(H19)年) |
|
1.7 | 0.75 | 食事記録 (2002/2003(H14/H15)年) |
|
0.6(女性) 0.39(男性) |
0.6(女性) 0.39(男性) |
食事記録 (2007/2008(H19/H20)年) |
|
米国(成人平均) | 5.8 | 2.6 | 組み上げ方式 (1994〜1996(H6〜H8)年) |
EU諸国 男性平均 最小値(ギリシャ) 最大値(アイスランド) 男性平均 最小値(ギリシャ) 最大値(アイスランド) |
1.2 6.7 1.7 4.1 |
0.5 2.1 0.8 1.9 |
組み上げ方式 (1995〜1996(H7〜H8)年) |
オーストラリア (2歳以上平均) |
1.4 | 0.6 | 組み上げ方式 (2006(H18)年) |
ニュージーランド (15歳以上平均) |
1.7 | 0.7 | 組み上げ方式 (2006(H18)年) |
アメリカ食品医薬品局(FDA)は2015年6月16日、工業的に作られるトランス脂肪酸の主要な摂取源である部分水素添加油(PHOs:Partially Hydrogenated Oilsの略称)は「一般に安全であると認められる(GRAS)」の対象から除外する規制を決定しました。本決定では猶予期間は3年と定められ、2018年6月18日以降は部分水素添加油を食品に使用する場合には個別に使用許可を受けなければ使えなくなりました。これはトランス脂肪酸の摂取量を減らすためトランス脂肪酸の含有量が多い部分水素添加油脂の規制が効果的であると判断したことによります。
トランス脂肪酸は1.部分水素添加油の製造過程、2.油脂の精製過程(脱臭工程)、3.反芻動物由来(牛脂、バターなど)で生成されますが、このうち生成量の多い部分水素添加油(ヨウ素価が4を超える油脂)の使用を禁止するもので、全てのトランス脂肪酸の使用を禁止するものではありません。
参考文献
トランス脂肪酸は1.部分水素添加油の製造過程、2.油脂の精製過程(脱臭工程)、3.反芻動物由来(牛脂、バターなど)で生成されますが、このうち生成量の多い部分水素添加油(ヨウ素価が4を超える油脂)の使用を禁止するもので、全てのトランス脂肪酸の使用を禁止するものではありません。
参考文献
- 食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価の状況について(内閣府食品安全委員会)
https://www.fsc.go.jp/osirase/trans_fat.html - トランス脂肪酸ファクトシート(2010(H22)年12月16日)(内閣府食品安全委員会)
http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/54kai-factsheets-trans.pdf - トランス脂肪酸に関する情報(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/ - 「食事バランスガイドについて」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html(厚生労働省)
http://www.maff.go.jp/j/balance_guide/(農林水産省)